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ニングル

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まったく引越なんてするもんじゃない。

部屋を開けるまであと3日と迫っている。
今回はあらかじめ運送会社に荷物の梱包から依頼していた。
しかし、この際だから捨てたいものもあるし、探したいものもある。
細々したものだけでも自分でまとめておこうと思い、業者の方にお願いして20箱ほど事前にダンボールを戴いた。
さすがプロ仕様のダンボールはジャストサイズで本も雑誌もCDもうまい具合に入る。

見積もりにきたスタッフの方は「面倒そうなものは手をつけないで下さい。我々がやりますから」と言われていた。

三男から貰ったゴジラのフィギア(胸を押すと吠える)はどう梱包しようか、
次男から貰ったチェルノブイリの写真集はダンボールに入らない。
つまりそういうものはプロに任せる。

それよりもまず捨てるものから考えなければ。
今度の部屋にはウォークインクローゼットがあるからロッカーは処分。
椅子も一脚捨てる。
壊れたスーツケースも持っていってもらおう。

捨てるか否かで一番頭を悩ませたのはビリヤード台。
引越てすぐに通販で買った。
綿密に大きさを計り、部屋に置けることを確かめてから購入したのだが、
台を広げてキューで玉を付こうとしたら、キューのお尻が壁にぶつかった。
結局、友人を呼んで1度だけナインボールをやったが、ブレイクからマッセで打たなければならない状態であり、
壁に穴をあける前に、ビリヤード台は布で覆われて早々とテーブルとなった。
負け惜しみに聴こえるかもしれないが、テーブルとしては重宝した。
鞄もポストから出した郵便物も乾燥機から取り出した洗濯物も、とりあえず置ける。
この「とりあえず」が大きかった。
6つの穴は邪魔だったけど。

結局、この慣れ親しんだテーブル…もといビリヤード台も処分することにした。

次にエクセルで部屋の見取り図を作り、
家具の配置を考える。

ベッドの置き場所でまた悩む。
寝室を作るのもいいが、テレビもパソコンもすべてが手に届く小宇宙的なスペースが好きな私にとって、寝るだけのための部屋というのはいかにも寂しい気がした。
ベッドはリビングの隣にある和室に置くことにした。
せっかく1階の部屋を出て7階で暮らすのだから、見晴らしのいい部屋で寝たかった。

本棚3つと、ビデオ&CDラック2つの置き場所は洋室へ。
たぶんこの部屋は納戸化するだろうな。

これだけ決めたら、いよいよ梱包始め。

ここで暮らした生活は5年間だが、この部屋にあるものはわたしの丸々32年間だった。
実家を出るとき自分のものはほんとんど全て持ってきていたので。
押し入れを開けたのがまずかった。
幼稚園のアルバムから、子どもの頃広告の裏に描いた絵まで。
長男だったわたしに親が残してくれたものはやっぱり多かった。

人生の中で1度だけ1年間ほど続いた日記が2冊。これを読み始めたら最後だ。
フランスにいた親友と交わした数十通のエアメール。これはいつか二人で旅先で読もうと決めている。約束は破れない。
こんなのも出てきた。読書帳と映画帳。どちらも学生時代、浴びるほど時間があった頃に記録していたもの。
思わずページを開く。なるほど香港ノワールとジャン=ジャック=ベネックスにハマっているなと自分をヤジる。
いつか読み直したらきっと面白いだろうと思ってとっておいた中学校3年間の国語の教科書。
これも「いまは」開いてはいけない。
卓球のラケットは無造作に箱の中に放ってあった。前人速攻型と呼ばれる中国式のペン。打ちて〜。
将棋盤にUNO、卒業文集に通信簿、つくば万博のガイドブックにアントニオ猪木のサイン色紙。
あ、未開封のホッチキス。なぜいま出てくる。お前のことを年に1度は探したんだぞ。
くわぁ〜収集つかん。

押し入れから出てきた最も無駄なものといえば、化粧箱だった。
プレステ1、プレステ2、ビデオデッキ、DVD、デジタルカメラ…とりあえず押し入れにしまった挙げ句がこの始末。
まだある。ひとから貰った観光地の絵葉書や切手シート…これも正直いらん。
いつか読むかもしれないと思って取ってあった電化製品の取扱説明書。
全自動洗濯機や加湿器の説明書なんているわけがないのに。


こう書き綴るといかにもわたしが不必要なものばかりに囲まれて生活しているように思われるかもしれないが、
…そうなのかもしれない。

本も雑誌もそうとう捨てた。
しかし、まだ読んでない本を捨てる気にはなれない。
未読本をしまっただけでダンボールが1つ埋まった。

そうこうしているうちに日が暮れて腹がへる。
昨日の晩になってようやく気がついたのだが、冷蔵庫の中身も計画的に処理していく必要がある。
パックにある卵がまだ6個も残っている。
今晩はうどんでも茹でよう。
…ハサミがない。
さっき雑誌を縛ったときはあったのに。
うどんをブンブン振り回しているうちに、やっぱり目は他のところにいく。
気がつくと、押し入れから出てきたスネークキューブを組み立てている。

ものが失くなるのは一説によると妖精のイタズラらしい。
ハサミが見つかると手元にあったはずのうどんが失くなっているのだから、これはもう妖精の悪意を感じずにはいられない。

一日中部屋にこもってダンボールに囲まれているとアタマが多少やられてくるのか、
ふと我にカエルと、ビリヤードのラック(木でできた三角形の。玉を揃えるに使う)を腕に通して、フラフープのようにぐるぐる回していたりする。

だから、引越はひとに任せたほうがいいんだ。
もしかしたら妖精の正体は過去の自分なのかもしれない。

あ〜、デジカメのレンズキャップはまだ出てこない。
by tabijitaku | 2005-11-23 21:14 | 雑文


中庭、それは外。でも内側


by tabijitaku

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