田んぼの戦士
日曜の朝、起きたら真夏の太陽が出ていた。
横浜へ行く予定を変更して、道路地図を開いた。
行きたい場所があった。
映画「ディアドクター」のロケ地、茨城県の常陸太田市。
棚田の美しい場所である。
さて、バイクで行くか、車で行くか。
わたしは車にはETCを付けているが、バイクにはまだ付けていない。まだ、というのは既に1ヶ月以上も前に注文を出しているのだけれど、入荷の目処すら立っていないのだ。
従って車で出かければ、高速道路の割引が受けられるけど、バイクだとそれが無い。
でも、そんなことは関係ない。
暑い夏の日差しをめいいっぱい浴びて、クラクラするような夏日和をバイクで満喫することに決めた。
わたしはライダーでは無い。
だからバイクスーツを着たりしない。
日焼けを気にせず、Tシャツで走る。
その結果、ハンドルを握った両腕は、きょう1日で真っ赤に灼けた。
ひりひりする。
でも、そんなこと関係ないよ。
夜、火照った肌を白ワインで冷やしてみる。
気持ちいい。これは今日の成果だ。
通りから遠くにそれを見つけたとき、最初しゃがんで何かを拾おうとしている人形かと思った。人形にしては、珍しいその動作が気になってバイクのエンジンを止めた。
普段、わたしはバイクで旅に出るとき、カジュアルシューズを履いたりしないのだけど、この日はあまり考えもせず履いてきてしまった。
田んぼの畦道はところどころぬかるんでいて、油断すると足を取られそうになる。
でも、そんなことは関係ない。
だって、泥まみれ、汗まみれになることには慣れているじゃないか。
それにしても近くで見るとかなりグロテスクな材質でできている。
これは、案山子なのか?
オブジェなのか?
そんなことは関係ない、と彼はマイクで叫んでいる。
叫んでいる。
ブームが去っても、一発屋でも、そんなことは関係ないよ、と。
そんなのカンケーねー!
案山子にするなら、オッパッピーのほうが良かったんじゃない?
そんなのカンケーねー!
そんなのカンケーねー!
そんなのカンケーねー!
そんなのカンケーねー!
ありがとう。
その言葉は勇気です。
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by tabijitaku
| 2009-07-26 21:39
| 私が私であるための1973枚(絵)