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わたしの地面

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直島の宿は海のすぐ傍だった。
海と言っても、砂浜のある海岸ではなく、漁船が停泊する港。
朝、6時に目が覚めたので寒いのを我慢して、朝食までの1時間を港で過ごした。

港には釣り糸を垂らすおじさんと、立ち小便をするおじいさんしかいなかった。
日曜日だったせいか、朝の港は静かだった。
たゆたゆと揺れる海面に湯気が立ち上っている。

アートの島として有名な直島の反対岸に工場地帯があるのは、
島に上陸してから知った。
いちいち写真撮影を禁じられる箱入りアートより、本音を言えば工場地帯のほうが面白そうだな、と思った。
工場の煙突から出てくる白い煙は見ていて飽きなかった。
その隣、写真では見づらいと思うが月が出ていた。
朝6時の満月である。

「自由」という言葉に対して、わたしが最後まで信じたいのは、
ヒトは地面を選べる、ということだ。

職業選択の自由。
教育の自由。
選挙の自由。

自由という名の権利をたくさん学校で習ってきたのに、わたしが地面を選べる自由に気づいたのは、20代後半になってからだ。

両親が居を構えた場所で育ち、
学校に通える場所で暮らし、
通勤に不自由のない場所で家を持つ。

それも1つの「地面の選び方」ではあると思う。
けれども、もっと違う選び方だってある。

映画館の上に住んでみたい、とか
島で暮らしてみたい、だとか。

わたしの理想は海が近くて山が見える場所。
そして海の傍で暮らせるなら、坂の上の平屋の一軒家がいい。

わたしは、いったいいつになったら地面を選べるというのだ。
人生に残された時間はもう半分ぐらいだというのに…。

【156/1973】
by tabijitaku | 2007-12-02 23:33 | 私が私であるための1973枚


中庭、それは外。でも内側


by tabijitaku

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