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わたし以外の人間には当たり前のこと

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人形の先に泡立て器のついた簡易的なカプチーノメーカーを貰ったので、早速に使ってみたら、ものの見事にコーヒーが飛び散った。

「ボウルに入れなかったの?」と聞かれて唖然とする。
こぼれにくいようにとカップのコーヒーを半分にすることは考えたが、違う容器に入れてかき混ぜることなど、まったく考えなかった。

…発想力はあるほうだと思う。
じゃあ、わたしに足りないのはなんだろうか?

小学生の頃、父兄参観での出来事。
あれは社会の授業だったのだろうか?防災の話になった。
非常食として乾パンやミルクなどの缶詰の重要性を先生が教えてくれた。

最後に先生が「ミルクの缶詰があってもこれだけでは不充分です。他に何が必要か分かるひとはいますか?」と尋ねた。

親の前でいいところを見せようと思ったかは知らないが、このときクラスの大多数の生徒がいっせいに手を挙げた。
つられて…と言ったら我ながら情けないのだけれど、このときわたしはつい勢いで手を挙げてしまった。
まさか自分が名指しされるとも思わずに…。
先生に指名されてわたしが答えたのは「イチゴ」だった。

先生のほうが動揺して必死にフォローをしようとしていた。
「そうですね、ミルクはイチゴにかけるとすっごく美味しいよね。でも缶詰だよ。缶詰を開けるのに必要なものが何かないかな?」

と言われても、わたしの頭のなかには真っ赤なイチゴにミルクがかかっている光景しか浮かばなかった。
結局、誰かが「缶切り」と口にしたところで、わたしは席についた。

きょう、職場でパートさんにエクセルで表とグラフの作成方法を教えた。
経理という仕事柄、銀行に提出する資料作りをすることもある。
エクセルは毎日使う。
きちんと勉強したことはないが、使っているうちにだいたい覚えてしまった。
本日、わたしが練習用に作ってもらった表は、今期に入ってからの全商品仕入高のうち、海外直輸入商品と商社から購入した商品の割合を棒グラフ化したもの。

関数の入れ方から、セルの結合方法まで1つ1つ教えては復習させ、復習させてはまた新しいことを教えた。
午後、3時間をほどかけて表とグラフは完成した。
「棒グラフの色は変えられますか?」とパートさんが質問してきたので、わたしが「変えられるよ。棒の部分を右クリックしてごらん」というと、彼女はパレットを拡げて何色にしようかと真剣に悩み始めた。

「何色にしても構わないけど、今回は3つのデータがあるので3色使う。モノクロで印刷したときも色の判別が着くように、濃い色と薄い色を混ぜるといいと思う」
わたしはそう言った。
濃い色、中ぐらいの色、薄い色…この3色がわたしの考えるベストな配色だった。
しかし、彼女はわたしが予期せぬことを口にした。
「じゃあ、薄い色と薄い色で濃い色を挟むようにすればいいんですね」

…目からウロコだった。
きょう初めてエクセルで表を作ったひとが口にした言葉は、大げさに言えばわたしがこれまで考えたこともない「発想」だった。
わたしは思ったことは口にするタチなので、素直に「ビックリだね、勉強になったよ」と言うと、周りにいた他のパートさんが笑っていた。
ということは、わたし以外の人間にとって、それは当たり前の発想だったのかもしれない。

わたしは人参に皮があることを中学生のとき初めて知り、大学生のときアルバイト先の西洋レストランで大根にも皮があることを知った。

わたしには足りないものがたくさんある。
ただ落ちるウロコがたくさんあることは、少々の恥を覚悟さえすれば幸せなことだと思う…のもわたしだけか。

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【477/1973】
by tabijitaku | 2008-09-13 00:37 | 私が私であるための1973枚(絵)


中庭、それは外。でも内側


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